第3回総会報告
平成28年11月22日(土)、第3回リーガルカウンセリング学会総会が一橋記念講堂特別会議室で開催されました。学会の活動、収支報告の後、特定非営利活動法人アジア太平洋地域アディクション研究所(APARI)の尾田真言事務局長により「米国ドラッグ・コート制度」をテーマとする記念講演が行われました。薬物依存症の治療を処罰に優先させて強制的に治療につなげる裁判制度の概要と意義についてのプレゼンテーションでは被告人が薬物依存者同士のワークショップや裁判官との交流を通じて社会復帰を実現する現地テレビ番組等も上映され、社会全体で助け合う仕組みへの問題提起がなされました。わが国の薬物事犯者処遇の現状とドラッグ・コート制度導入の可能性等について実務家メンバーからも活発な議論が交わされました。
*ドラッグ・コート制度とは、薬物事犯者を通常の刑事司法手続ではなく薬物依存からの回復治療(トリートメント)手続にのせ、その経緯を一定期間裁判官が法廷で集中的に監督し、全課程を修了した被告人に公訴棄却の決定を下して手続を終結させる裁判制度。薬物事犯者の急増と刑務所の過剰拘禁問題を打破するために1989年フロリダ州マイアミの裁判所で開始。検挙人員に見られるわが国の覚せい剤事犯者の再犯率が約50%であるのに対し、マイアミのドラッグ・コート修了者の再犯率は年平均わずか6%に過ぎないとのことである。
総会後は学士会館のフレンチレストラン「ラタン」にて懇親会が開催され、和やかな雰囲気の中、会員同士の親睦が深められました。